
霞ヶ浦で最も一般的な湖岸の風景です。

湖岸にはこのような水門が点在しています。この水門を開閉して様々に利水します。

きれいに整備された湖岸

周囲には高い山がほとんどありません。遠方に筑波山(標高877m)が見えます。
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001.霞ヶ浦について(1) |
※霞ヶ浦との関わり
初めてタナゴ釣りをしたのが霞ヶ浦でした。この湖は平地に位置していて周囲に大きな山もなくとても開放的な場所にあります。湖岸の大部分が護岸工事によりコンクリート化されているため、日本で2番目に大きな湖で広大ですが野性味や神秘性といったイメージはほとんどありません。ところで、私事ではありますが、もし山奥の湖や渓流等にしかタナゴが生息していなければ、おそらくタナゴ釣りというものをやっていないかもしれません。と言うのも私は誰もいない山奥の湖や渓流がちょっと苦手なのです。自然の雰囲気に呑まれてしまうというか、とにかくえもいわれぬ恐怖を感じるのです。誰か一人でもそこにいればこの感情はかなり軽減されます。また周囲が明るい時間帯であればまだしも日がくれるにつれ徐々に薄暗くなると恐ろしさも倍増します。色々な人にこのような恐怖を感じるかどうか尋ねてみるとどうやらこれは何も私だけの個人的な感情ではないようです。自然に対する恐れはその大小はあっても必ずあるものと思います。私の場合はそれが比較的大きいと思いますが…。
人間は他の動物に比べて身体能力が高いとは言えません。それゆえに頭で考え、道具を使い、自然環境を自分たちの住みやすいものに変えることで適応しています。言い方を変えると自然を自分たちに合ったものに作り変えなければ人類は繁栄できないとも言えます。私たちが感じる漠然とした自然への恐れはこういう人間の脆弱さからきているように思えてなりません。霞ヶ浦はそんな軟弱な私でも恐れを全く感じずに釣りが楽しめるとてもよい場所です。しかもとても釣りがし易いのです。言い代えると竿が出しやすいということでしょうか。これはどういうことを意味するかと言えば、足場がよく釣り糸が絡むものが少ないということを意味しています。本来湖岸にはアシなどをはじめとする水生植物が生い茂りそれらをかき分けて足場を作らなければ釣りが始まりません。それが不可能であれば舟を出して釣る必要があるでしょう。(舟があればの話ですが)霞ヶ浦に流入する小河川においても同じことが言えます。すべての場所に人の手が入っているから釣りがし易いのです。これがもしほとんどが手つかずの自然であったら釣りをする人はかなり少なくなるのではないでしょうか。水辺に簡単にアクセスできるからこそ釣りをする人が沢山いるということです。手つかずの自然は生物層がとても豊かですが、人間にとって関わりを認識することが難しく同時にそれは「存在しない」ことと同じです。これは言葉にすると何か変ですが当然のことで、人は自分が認識できないものは無いのも同然なのです。本やテレビ、ネットなどで知ることができるじゃないかと言うかもしれませんが、そんなものは所詮リアルではないため自分とのかかわり深く感じることはできません。たとえこの自然が跡形も無くなったとしてもどうでもいいということになります。環境破壊はこのような無関心から起こると思っています。無関心な破壊するものと無関心な傍観するものがいて初めて起こるのです。無関心でない破壊するものと無関心でない傍観するものでは破壊の結果がかなり異なってくるでしょう。人間は自然をある程度破壊して作り変えなければこれだけの個体数を豊かに維持することはできないでしょう。私もある程度の矛盾を理解する社会経験のある「おとな」であるためそのぐらいは当然のこととして受け入れることができます。少し粗っぽい言い方ですが、その「程度」によるわけです。霞ヶ浦でのタナゴ釣りは私に湖の自然を深く考えるきっかけをくれました。しかしそれは皮肉にも護岸工事されて簡単に水辺にアクセスすることができるようになっていたからこそだと感じます。どんなきっかけでもその自然と関係を持つことがとても大事だと思います。魚を捕ってはいけませんなどと言う禁止事項の多い場所では関係性は全く生まれません。もともと私は小さいころから生き物に興味があるタイプの人間ですが、それでさえもこんな具合ですから、幼少期にこのような体験の無い人にとってはもっともっと自然との関係性を作ることが難しいと思います。具体的に環境保全などをする活動家になる必要はなく、一人ひとりがほんの少し関心を持つことでムーブメントが起きると信じています。しばしば自然を大事に思うあまり、一般人にその自然に触れることを禁止することがありますが、これは行き過ぎるとかなり危険であると感じます。アンタッチャブルな存在は無いのと同じなのですから、無関心を促進していく一方になってしまうと思うのです。
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